いぼ痔の日帰り手術
いぼ痔の日帰り手術
ジオン注射療法は、従来から行われてきた外科治療(結紮切除術)にくらべ低侵襲で、術後出血のリスクが低いという利点がありますが、外痔核には適応外であること、結紮切除術にくらべ再発が多いという問題があります。一方、結紮切除術は、あらゆる痔核に適応可能で、根治性も高い治療法ですが、注射に比べると侵襲が大きく、術後出血のリスクがあり、従来は入院して手術が行われておりました。当院では内痔核に対してはジオン注射、外痔核に対しては結紮切除術を組み合わせたハイブリッド手術を行うことで、根治性と安全を担保した日帰り手術が可能となっています
当院では患者さんになるべく楽に治療をうけていただきたいと考えており、仙骨硬膜外麻酔または脊椎麻酔下での治療を基本としております。手術中は痛みを感じることなく受けられます。麻酔方法にも工夫をこらしており、仙骨硬膜外麻酔・脊椎麻酔であっても安全に日帰り治療が可能です。また、手術中は鎮静(眠ってもらっている状態)することも可能です。
当院で行っているジオン注射を用いた痔核のハイブリッド手術は、学会等ではLE(エルイー)ALTA(アルタ)併用療法と呼称されています。LEはLigation and Excision(結紮切除)のことで、ALTAはaluminium potassium sulfate・annic acid (硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸)製品名でジオン注射のことを指します。
痔核の多くはこの図のように内痔核と外痔核が連続しています。
痔核のハイブリッド切除術(LE+ALTA併用療法)では内痔核部分にジオン注射を行い、外痔核部分を切除します。結紮切除術にくらべ切除範囲が小さく侵襲が少ないことが利点です。また結紮切除では血流の豊富な直腸側の痔動脈を結紮する必要がありましたが、LE+ALTA併用療法ではジオン注射による止血効果と、痔動脈を比較的血流の少ない末梢側(肛門側)で結紮をするため、術後出血のリスクが相当減ると考えられます。肛門の外は感染予防のため開放創とするのは、従来の結紮切除術と同様です
結紮切除術では内痔核と外痔核を一括切除します。奥の結紮点(赤い部分)での術後出血のリスクがハイブリッド手術に比べると高くなります
※現在、当院では以下の治療はおこなっておりません
PAO(Phenol Almond Oil)と呼ばれる薬剤を注射する治療法です。ALTAは強力な薬であり、手術にとってかわるような治療法ですが、効果が強い分注射後に痛みや発熱、出血などが起こることがあります。また腎臓の悪い人には使用できず事前に血液検査が必要です。PAOはALTAに比べて治療効果は弱く、手術を置換するほどの効果はありませんが、副作用は少なく安全性は高いとされています。
内痔核をゴムで緊縛して血流を遮断し、痔核を脱落させる治療です。施行時の疼痛が少なく、簡便な治療法ですが、平坦な内痔核やサイズの大きな内痔、線維化した硬い内痔核は適応外であり、痔核脱落後に後出血をきたすリスクがあります。
環状自動縫合器(PPH=procedure for prolapse and hemorrhoids)を用いて、痔核口側の直腸粘膜を環状に切除することで、切除部より肛門側にある痔核に対する血流を遮断するとともに痔核を吊り上げて固定する術式です。全周性に滑脱している内痔核に対して、後述する結紮切除を行うと、切除範囲が大きくなりすぎ、肛門狭窄をきたすリスクがありますが、PPHでは痔核を広範に切除しませんのでそのようなリスクは低いとされています。また直腸には痛みを感じる神経が通っていないため、術後の疼痛が少ない、自動縫合器を用いるので手術時間も短く低侵襲です。しかし、直腸穿孔、直腸狭窄といった他の痔核手術に比べると重大な合併症を引き起こすことも稀ながらあるため、慎重に行う必要があります
☑問診の上、腹部と肛門診察を行います。
☑肛門診察は必ず女性看護師が立ち会います。
☑手術適応があるかどうかを判断します
☑手術日までに、術前検査を行います(採血、レントゲン、心電図など)
☑手術内容について医師より詳しく説明させていただき、同意書にサインしていただきます
☑手術前後の注意事項について、看護師より説明させていただきます
☑更衣室にて術着へ着替えをしていただきます。
☑点滴、血圧測定等行ったのち手術室へ移動します
☑麻酔を行います。腰から細い針を挿入し、麻酔薬を注入します。
☑肛門周囲の痛みが完全にとれるまで、麻酔が広がるのを待ちます(約3分)
☑手術体位をとり、詳細に患部の状況を確認したうえで手術を開始します
※手術中は鎮静剤を用いて、眠った状態で手術することも可能です(全身麻酔とは異なります)
☑処置室にてお休みいただきます
☑酸素濃度、血圧、心拍数など測定を継続して行います
☑脊椎麻酔の場合は麻酔が切れるまで約2時間ほどかかります。麻酔が切れて歩行可能になれば帰宅いただきます。
☑痛みどめを処方しますので、帰宅後すぐに内服してください(帰宅後もしばらくの間、肛門周囲の麻酔が効いていますので、麻酔が切れる前の内服をおすすめします)
☑手術当日からシャワーは可能です(入浴はお控えください)
☑食事は夕食からとっていただいて大丈夫です
☑帰宅後の飲酒は術後出血のリスクが高くなりますので控えてください
☑創部の確認のため来院いただきます。
☑入浴が可能となります。
☑手術創部のガーゼ交換をこまめに行ってください(感染の予防が重要です)
☑手術当日と翌日はご自宅で安静にしておくことで、脊椎麻酔の影響による頭痛等を予防することができます。
☑創部の痛みは、日に日に良くなってきます
☑術後1週間を目安に来院いただきます
項目 | 料金 |
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痔核根治術(保険適応) | 約15000円~約30000円(3割負担の場合) |