
いぼ痔の切らない注射治療(ジオン注射)
いぼ痔の切らない注射治療(ジオン注射)
痔核は肛門にいぼ状のはれができる状態でいわゆる「いぼ痔」のことです。肛門と直腸の境界を歯状線と呼びますが、歯状線をはさんで内側にできるものを内痔核(ないじかく)、外側にできるものを外痔核(がいじかく)と呼んでいます。歯状線より外では皮膚の知覚神経が分布しているため、歯状線より奥では痛みを感じませんし、歯状線より外では痛みを感じます。したがって、内痔核では排便時の出血、外痔核では痛みが主な症状となります。また、内痔核が肛門外に飛び出た状態のことを脱肛と呼びますが脱肛すると痛みを感じます。
脱出する内痔核に対して、ジオン(タンニン酸アルミニウム注射液:ALTA)を注射し、炎症を引き起こさし、硬化させることで、出血や脱肛を改善させる治療法です。ALTA療法というのが正式な名前です。2005年4月に保険収載され、痔核の新たな治療選択肢の1つとなりました。施行資格は、「四段階注射法講習会」を受講した医師に限定されています。
ジオン注射の登場により従来の外科治療(切除)にくらべ、格段に術後出血のリスクが低くなり、痔核に対する日帰り治療が可能となりました。また、ジオン注射は局所麻酔(歯科で行われる麻酔と同じ)することで施行可能です。ただ局所麻酔での注射治療は注射施行中に不快感を訴える患者さんも少なくありません。当院では患者さんになるべく楽に治療をうけていただきたいと考えており、脊椎麻酔下での治療も可能です。脊椎麻酔であっても日帰り治療が可能です。これは他のクリニックにはない大きな利点であると考えております。ただし、心血管障害や脳血管障害の治療後などで、抗血小板薬や抗凝固薬(血をさらさらにする薬)の服薬中の患者さんは脊椎麻酔を施行できませんので局所麻酔で行っています。もちろん脊椎麻酔ではなく局所麻酔を希望される方のご要望もお受けします
ジオン注射は内痔核にしか適応がありません。先に記載しましたが、内痔核と外痔核は歯状線という境界で分けられますが、歯状線より外側では皮膚成分が肛門内に入ってくることから痛覚があり、外痔核にジオン注射を行ってしまうと痛みが強くなるためです。また、外科治療に比べると再発が25%程度と多くなっています。以前にジオン注射をうけている方に、再度ジオン注射を行った場合はさらに再発率が上昇します。ジオン注射による組織の反応性が患者さんごとに異なる(治療効果に個人差がある)可能性が示唆されています
注射を打つと、痔核へ流れ込む血液の量が減り、注射翌日には出血、脱出の程度も軽くなります。
痔核は次第に小さくなり、引き伸ばされていた支持組織が元の位置に癒着・固定し、脱出が改善します。
☑問診の上、腹部と肛門診察を行います。
☑肛門診察は必ず女性看護師が立ち会います。
☑手術適応があるかどうかを判断します。
☑手術日までに、術前採血を行い基礎疾患の有無を確かめます
☑手術内容について医師より詳しく説明させていただき、同意書にサインしていただきます
☑手術前後の注意事項について、看護師より説明させていただきます
☑更衣室にて術着へ着替えをしていただきます。
☑血圧測定等行ったのち手術室へ移動します
☑体位をとり、詳細に患部の状況を確認したうえで注射治療を開始します
☑下腹部痛や吐き気などの症状がみられることがありますが、そばに医師・看護師がおりますので遠慮せずにお申し出ください
☑処置室にて15分程度お休みいただき帰宅いただきます
☑帰宅後も痛みはほとんどありませんが、肛門に違和感を感じることはあります
☑10人に1人程度は発熱することがありますので、発熱時は薬を内服してください
☑手術当日からシャワーは可能です(入浴はお控えください)
☑食事は夕食からとっていただいて大丈夫です
☑帰宅後の飲酒は術後出血のリスクが高くなりますので控えてください
☑創部の確認のため来院いただきます。
☑入浴が可能となります。