腱鞘炎
腱鞘炎
腱や腱鞘(腱を固定するトンネル)とは、指や手を動かすために筋肉と連動する組織です。指や手首を使いすぎると、腱と腱鞘がこすれて炎症をおこし腱鞘炎になります。原因は更年期や授乳中における女性ホルモンの急激な変化や糖尿病、透析などがあります。腱鞘炎のうち、手首の親指側で生じるものをド・ケルバン病、手首の小指側で生じるものをECU腱鞘炎(ECU:尺側手根屈筋)と呼びます。なお、指の付け根で生じる腱鞘炎では指がばねのようにガクガク動くため「ばね指」と呼ばれます。ここではドケルバン病について解説します

手首には屈筋支帯という腱の通り道となるトンネルが6か所あり、そのうち最も親指側にあるトンネルを第1コンパートメントと呼びます。第1コンパートメントには長母指外転筋腱(APL)と短母指伸筋腱(EPB)が走っていますが、このトンネルで機械的刺激が繰り返されることで発症します。授乳中の女性や母指を激しく使う職業のひと(パソコンをよく使う、ピアノを長時間など)で多くみられます。授乳中の人に多いのは、授乳中は女性ホルモンが減少することで腱鞘炎が起きやすくなっているのも一因と考えられます。

タオルを絞る、物をつかむ動作で手首の親指側に痛みが出ます。

親指を握って、小指側に曲げ痛みがでるか確かめます。(Eichhoff(アイヒホッフ)テストまたはFinkelstein(フィンケルシュタイン)テストと呼ばれます)。超音波検査を行い、腱鞘の肥厚の有無、ガングリオンなどの病変が併存していないかを確かめます。
運動、仕事の軽減やシーネ固定、装具などで安静にします。また、痛み止めやビタミンB12などの内服や腱鞘内注射を行います。
腱鞘内にステロイド注射を行います。ステロイド注射は数日から数週間かけて効果を発揮し、手首の痛みが改善します。ただし、ステロイド注射を繰り返し行うと、腱が脆くなるため注意が必要です。

保存的療法が無効な場合は手術を行います。腱鞘を切開し開放します(腱鞘切開術)。
当院では、保存療法で改善が難しい場合に日帰りでの手術を行っています。手外科専門医が執刀し、清潔な院内手術室で安全に行います。以下は一般的な流れです。

まず診察で症状や経過を確認し、超音波検査などで腱の状態を評価します。
手術が必要と判断された場合は、手術内容・麻酔法・費用・術後の注意点などをご説明します。

手術日は通常、水曜午前の「手外科専門外来」で行います。
血液検査などの術前検査を実施し、手術同意書にご署名いただきます。
看護師より手術の注意事項を説明します
局所麻酔または伝達麻酔で行い、手術時間はおおむね20〜30分程度です。
腱鞘の一部を切開して腱の通り道を広げ、引っかかりを解除します。
手術後は創部をガーゼで保護し、安静時間ののち歩いてご帰宅いただけます。
手術翌日または数日後に再診し、感染や出血がないか確認します。
抜糸は1週間後が目安です。症状や腫れが落ち着いたら、指のストレッチやリハビリ指導を行います。

軽作業や日常生活は数日後から可能ですが、力仕事や長時間の水作業は回復をみながら再開します。
症状の程度や職業によって経過は個人差がありますので、医師の指示に従ってください。
当院では日本整形外科学会認定の手外科専門医が執刀します。
腱や神経が複雑に入り組む指の構造を熟知しており、再発や合併症を防ぐ安全な手術を行います。
局所麻酔や伝達麻酔を行う際も、麻酔科標榜医が常勤しており、痛みや不安を最小限に抑えます。
術中・術後の安全性を重視した体制を整えています。

院内に清潔度の高い専用手術室を備え、外来から手術・アフターケアまで一貫して行える体制です。
入院の必要がなく、日帰りで受けられるため身体的・経済的な負担が少なくすみます。
腱鞘炎の手術は保険診療の対象です。さらに日帰りで受けられるため、入院費が不要で経済的負担も軽く済みます。
外科・内科を併設しているため、全身の状態を踏まえた総合的な診療が行えます。
大阪メトロ谷町線「都島駅」から徒歩5分。お仕事帰りやご家族の付き添いにも通いやすい立地です。
院内は明るく清潔で、バリアフリーにも配慮しています。
局所麻酔または伝達麻酔を行うため、手術中に痛みを感じることはほとんどありません。
麻酔が切れた後に軽い痛みや腫れを感じることがありますが、鎮痛薬でコントロールできます。
はい、腱鞘炎の手術は健康保険が適用されます。料金は料金表を参照してください
デスクワークなど軽作業の方は、数日〜1週間ほどで復帰可能です。
手をよく使う仕事や重いものを持つ作業の方は、2〜3週間程度を目安としてください。
はい。軽度の腱鞘炎では、安静・ストレッチ・装具・ステロイド注射などで改善することもあります。
ただし再発を繰り返す場合や症状が進行している場合は、手術が必要です。
術後しばらくは指を動かしづらくなるため、軽いストレッチや曲げ伸ばしの練習を行います。
無理のない範囲で指を動かすことで、腱の滑りを改善し再発を防ぎます。
手術で腱の通り道を広げるため、再発は少ないです。ただし、反対の手などに発症することがあります。