痔に用いられる軟膏の比較表
- 2025年5月28日
- 肛門外科
いぼ痔で用いられる軟膏薬の比較
プロクトセディル軟膏 / ヘモレックス軟膏
- ステロイド: ++
- 麻酔成分: +
- 適応疾患:痔核、裂肛、皮膚炎
- 特徴:抗生剤と血流改善成分も含有
- 成分量:ヒドロコルチゾン5.0mg、ジブカイン5mg
強力ポステリザン軟膏 / ヘモポリゾン軟膏
- ステロイド: +
- 麻酔成分: なし
- 適応疾患:痔核、裂肛、皮膚炎
- 特徴:大腸菌死菌液が免疫誘導、麻酔成分なし
- 成分量:ヒドロコルチゾン2.5mg
ボラザ軟膏
- ステロイド: なし
- 麻酔成分: +
- 適応疾患:痔核、裂肛
- 特徴:ステロイドが含まれていない
- 成分量:リドカイン20mg、トリベノシド100mg
市販薬
リシーナ軟膏
- ステロイド: ++
- 麻酔成分: +
- 適応疾患:痔核、裂肛、皮膚炎
- 特徴:ステロイド量が多く、内痔核には使いにくい
- 成分量:酢酸ヒドロコルチゾンエステル5.0mg、リドカイン24mg、アラントイン5mg
プリザエース注入軟膏
- ステロイド: +
- 麻酔成分: ++
- 適応疾患:痔核、裂肛、皮膚炎
- 特徴:止血成分も含有
- 成分量:酢酸ヒドロコルチゾンエステル2.5mg、リドカイン30mg、アラントイン5mg
ボラギノールA注入軟膏
- ステロイド: +
- 麻酔成分: ++
- 適応疾患:痔核、裂肛、皮膚炎
- 特徴:アラントインは組織修復成分
- 成分量:プレドニゾロン酢酸エステル0.5mg、リドカイン30mg、アラントイン10mg
軟膏には以下のものが主に含まれています
- 抗炎症成分(ステロイドやステロイド以外のもの):痔の炎症を抑える
- 麻酔成分:痛みやかゆみをおさえる
- 痔の原因となる血流障害を改善する成分や止血成分
市販薬と処方薬の違い
市販薬ではステロイド、麻酔成分に加えて、化粧品などにも含有される組織修復成分であるアラントイン、血行改善作用のあるビタミンEを含んだものが販売されています。いぼ痔・切れ痔・肛門周囲皮膚炎にバランスよく使用できるのが特徴です(使用前には添付文書をお読みください)。処方薬では、痔の状態に応じて、きめ細かに軟膏を使い分けることが可能です。
医療用軟膏の詳細
プロクトセディル軟膏・ヘモレックス軟膏
炎症成分と麻酔成分の両方が含有されており、痔核に伴う痛みやかゆみを和らげます。その他にも抗生物質が含まれており、細菌感染症を予防できます。プロクトセディルは「ジブカイン」が含まれ、麻酔作用に優れています。また、血流改善成分も含有されているため、抗炎症作用だけでなく、血流改善効果を期待できます。ヘモレックス軟膏はデカン酸マグネシウムが含まれ、痔核の膨張を抑えます。
強力ポステリザン軟膏
ステロイド含有の薬剤ですが、免疫細胞に働きかけて炎症を改善する作用が強く、使用しやすい薬です。痔核に関連した病態に対して、長期使用が可能です。
ボラザ軟膏
ステロイド不使用ですが、麻酔成分(リドカイン)が含有されており、痔核に伴う痛みの緩和に有用です。若干しっとり感のある軟膏で、非常に使いやすい薬剤です。