
痔ろう・肛門周囲膿瘍
痔ろう・肛門周囲膿瘍
これらの症状は痔ろうや肛門周囲膿瘍の症状かもしれません。肛門周囲膿瘍はおしりにたまった膿、痔ろうは膿の通り道となるトンネルができた状態のことで、どちらも自然に治ることは少なく、処置や手術が必要です。
いぼ痔・切れ痔・痔ろうの原因・症状の違いについて知りたい方はこちらを参照ください
疾患名 | 概要 | 主な症状 |
---|---|---|
痔ろう | 膿の通り道となるトンネルができた状態 | ・お尻の周りにおできや小さな穴 ・少量の膿 ・痛みはそれほど強くない(※炎症が弱い場合) |
肛門周囲膿瘍 | 肛門周囲でばい菌が急激に増殖した状態。繰り返す場合は痔ろうがあることが多い | ・膿がたまって腫れる ・強い痛み ・熱がある |
肛門と腸の境界には粘液を出すための小さな凹みがあり、肛門陰窩と呼ばれます。肛門陰窩には肛門腺といわれる粘液を出す腺があり、便がスムーズにでるのを促す役割があります。肛門陰窩(肛門腺)は通常感染を起こしませんが、免疫力の低下、頻回の下痢などが要因となり感染することがあります。また、便座洗浄の勢いが強かったり、長時間使用すると原因になる可能性もあります。感染が筋肉を超えて広がると、肛門周囲膿瘍となります。肛門周囲膿瘍が初発の場合は、約50%が治癒、残りの約50%が痔ろうになりますので、慎重に経過観察を行う必要があります。
痔ろうのトンネルのことを瘻管(ろうかん)とよび、瘻管の入り口を1次口、肛門の外にある瘻管の出口を2次口といいます。瘻管の走行により、痔ろうは分類されており、治療法が異なります。瘻管の多くはこの図に示す、低位筋間痔ろうと呼ばれるものです。
痔ろうの分類について詳しく知りたい方はこちらを参照ください
触診や超音波、肛門鏡検査で膿瘍の広がりや位置を確認します。
痔ろうの場合は、緊急性はありませんので、他の痔の日帰り手術と同様、手術予約日を調整の上、手術説明や術前検査を行います。
肛門周囲膿瘍の場合はなるべく早期に切開排膿を行う必要があります(当日手術枠に空きがあれば緊急対応を行うこともあります。)
肛門周囲膿瘍は、基本的に切開して膿を出す(排膿)処置が必要です。膿瘍が小さい場合には、局所麻酔(部分麻酔)で処置が可能なこともありますが、強い痛みを伴うことが多く、患者さんの負担になります。
当院では、脊椎麻酔を用いて、痛みを最小限に抑えた状態で排膿処置を行うことが可能です。処置後は、院内で数時間ご休憩いただきますが、基本的には日帰りで対応しております。
痛みや不安の少ない治療を心がけ、患者さんの負担を軽減するよう努めています。
痔ろうは、「瘻管(ろうかん)」と呼ばれる膿の通り道を処理しない限り、自然に治ることはありません。この瘻管を放置すると、まれにがん化するリスクもあるため、早期の治療が重要です。
痔ろうの手術にはいくつかの方法があります。
当院では、症状や瘻管の位置・深さに応じて最適な術式を選択し、日帰り手術にて対応しています。術後の痛みにも配慮した、大腸肛門病学会認定施設ならではの専門的な治療を提供しています。
Q 膿がでていて痛くないのですが、治療は必要ですか?
A 痛みがなくても膿がでていれば瘻管ができている可能性が高いと思われます。瘻管は自然になおらないため手術が必要です
Q 手術以外の方法で治りませんか?
A 一度できた瘻管は自然治癒する可能性は極めて低く、がん化の恐れもあるため手術が必要です
Q 手術は日帰りできますか?
A はい 当院では多くの方が日帰りで痔ろうの手術をうけておられます。詳しくはこちらを参照ください
Q 肛門周囲膿瘍と痔ろうの根治手術を同時にできませんか?
A 肛門周囲膿瘍手術時に瘻管に対する治療を行うと、手術侵襲が大きくなり、術後合併症のリスクも高くなります。したがって、まずは肛門周囲膿瘍をある程度改善させる必要がありますので、同時に手術することは一般的ではありません。