急性胃腸炎|消化器病専門医が診療|大阪市都島区のいまがわ外科クリニック

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急性胃腸炎

急性胃腸炎|消化器病専門医が診療|大阪市都島区のいまがわ外科クリニック

下記の症状に該当する方は「胃腸炎」かもしれません!

  • お腹の調子が悪く、発熱がある
  • 突然の吐き気や嘔吐がある(下痢がないケースもあり)
  • 水っぽい便(下痢・軟便)が頻回に出る
  • 排便がなくても、お腹がグルグル鳴って痛む
  • 下痢・軟便に血液が混じる(血便)
  • 頻繁に便意があるのに少量ずつしか排便がない(しぶり腹)
  • 腹痛、腹部の不快感、お腹が張った感じがある
  • 胃のむかつきがある
  • 食事に対する興味や食欲がなくなる

上記の症状に該当される方は受診をおすすめします。これらの症状の多くは胃腸炎が原因ですが、大腸がんや潰瘍性大腸炎や炎症性腸疾患が潜んでいる可能性もあり、適切な診断・治療が必要です。いまがわ外科クリニックでは、消化器病専門医、消化器外科専門医、大腸肛門病専門医が診療しておりますので、適切な治療や、緊急性に応じた高次医療機関への紹介が可能です。

急性胃腸炎とは

急性胃腸炎とは、胃や腸の粘膜が炎症を起こし、急激に下痢や嘔吐、腹痛などを引き起こす病気です。原因はさまざまですが、もっとも多いのはウイルスや細菌による感染で、一般的に「急性胃腸炎=感染性胃腸炎」を指すことが多くなります。発症は突然で、数日から1週間程度で自然に回復することが多い一方で、乳幼児や高齢者では脱水症状により重症化することもあるため注意が必要です。

急性胃腸炎の主な原因

ウイルス性胃腸炎

急性胃腸炎の原因として最も多いのがウイルス感染です。代表的なウイルスは以下の通りです。

ノロウイルス

季節は秋から冬にかけて流行し、あらゆる年齢層が感染します。症状は下痢、吐き気、嘔吐、腹痛、発熱、脱水など。潜伏期間は1-2日、発症は1〜2日で治まりますが、症状が改善した後も2週間程度は便からウイルスが排出され続けるため、家族内感染や集団感染に注意が必要です。カキなどの二枚貝は、海水中のノロウイルスを体内に蓄積することがあります。そのため河口付近で養殖される牡蠣では、生活排水に含まれるノロウイルスが牡蠣の体内に蓄積しやすく、生食は危険です。

ロタウイルス

主に乳幼児に多く、下痢便が白っぽくなるのが特徴です。わずかなウイルス量でも感染が成立するほど感染力が強く、症状は吐き気・嘔吐に続いて下痢や発熱が起こります。潜伏期間は2〜4日、発症は1〜2週間と比較的長く続くのが特徴です。

アデノウイルス

幼児に多く、発熱や咽頭炎を伴うこともあります。季節を問わず発症するのが特徴です。

細菌性胃腸炎

成人や小児で、食事が原因となることが多いタイプです。代表的な原因菌は以下です。

カンピロバクター

夏季に多く、加熱不十分な鶏肉やペット由来の感染が多い。ギランバレー症候群を引き起こす可能性がある。

サルモネラ菌

生卵・鶏肉が原因であることが多く、発熱や血便を伴うこともある。

病原性大腸菌(O157など)

重症化すると溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こす可能性がある。加熱不十分な牛肉などが原因。

黄色ブドウ球菌

食品内で増殖し毒素を産生、摂取後短時間で激しい嘔吐を起こす。

その他の原因

抗菌薬の副作用による腸内環境の乱れ、薬剤性の胃腸炎、食物アレルギー、寄生虫感染などもまれに原因となります。

感染性下痢症

急性胃腸炎でみられる下痢は感染性下痢症といわれ、「非炎症型下痢」と「炎症型下痢」に分けられます。

非炎症型下痢

主に小腸が障害されるタイプ

  • 特徴:水のような激しい下痢が中心で、発熱や血便はほとんどみられません
  • 原因:細菌やウイルスが産生する エンテロトキシン(腸管毒素) によって、腸管粘膜の表面に付着し、水分吸収を阻害することで下痢が起こります
  • 代表例:ノロウイルスなど

炎症型下痢

主に回腸から大腸に病変が及ぶタイプ

  • 特徴:発熱や下血を伴い、腹痛が強く、全身症状を伴うことが多い
  • 原因:細菌や病原体が腸粘膜へ直接侵入したり、サイトトキシン(細胞障害毒素) により組織破壊・炎症が生じる
  • 代表例:サルモネラ、病原性大腸菌(O157など)、カンピロバクター
    ただし、カンピロバクター、サルモネラ、赤痢菌はエンテロトキシン(腸管毒素)も産生するとされています。

急性胃腸炎の症状

典型的な症状は以下の通りです。

  • 下痢(水様便、時に血便)
  • 吐き気・嘔吐
  • 腹痛・腹部膨満感
  • 発熱・全身倦怠感
  • 食欲不振
注意すべき重症症状
  • 脱水(口渇、尿量減少、めまい、ぐったり)
  • 血便、強い腹痛、けいれんや意識障害

こうした症状がある場合は、早急な医療機関受診が必要です。

検査と診断

急性胃腸炎は、多くの場合は症状や流行状況、食事歴から総合的に診断します。必要に応じて以下の検査を行います。

  • 便検査:
    細菌培養により原因菌を特定(結果判明まで数日必要です)
  • 抗原検査:
    便中のウイルスを検出します。ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウィルスが検出できます。保険適応ですが、ノロウイルスは3歳未満と65歳以上に限られます。
  • 血液検査:
    脱水や炎症の程度、電解質の異常を評価する際に実施されます。

治療

①脱水の補正

最も重要なのは水分・電解質の補給です。経口補水液(ORS)を少量ずつ頻回に摂取するのが理想で、スポーツドリンクを薄めて代用するのも有効です。飲めない場合は点滴で補液します。下痢の程度にもよりますが、1日で1000~1500mlほど摂取するのが理想です。

②腸管安静

腸管に炎症があるため、消化に良い食事を行います。御粥やinゼリーの摂取がおすすめ。

③対症療法

  • 解熱剤:高熱時に使用
  • 制吐薬:嘔吐が続く場合に限定使用
  • 整腸剤:腸内環境の回復を助ける
  • 収れん剤:腸粘膜を保護
  • 止痢薬:腸管の動きを弱くする(病原体の排出を妨げるため、原則使用しません)

④抗菌薬の使用

細菌性で重症の場合に限って使用します。ウイルス性には抗ウイルス薬がないため、自然経過を見ながら対症療法が中心です。

予防

急性胃腸炎の多くは日常の衛生管理で予防可能です。

  • 手洗いの徹底(石けん+流水で30秒以上)
  • 調理器具の消毒、十分な加熱調理(中心温度75℃以上で1分以上)
  • 嘔吐物・下痢便は使い捨て手袋と塩素系消毒剤で処理

当院での診療

当院では、急性胃腸炎に対して以下のような診療を行っています。

  • 診察と症状に応じた検査(レントゲンや採血、迅速検査)
  • 点滴による脱水補正
  • 整腸剤や制吐薬の処方
  • 重症例や合併症が疑われる場合は連携病院への紹介

患者さん一人ひとりの年齢や体調、既往歴に合わせた安全な診療を行います。

受診の目安

次のような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。

  • 嘔吐や下痢が続き水分がとれない
  • 尿がほとんど出ていない
  • 高熱や血便、強い腹痛がある
  • 小児や高齢者でぐったりしている
  • 数日経っても症状が改善しない

まとめ

急性胃腸炎は身近な病気ですが、脱水や合併症を防ぐためには正しい知識と早めの対応が欠かせません。原因はウイルス性が多いですが、細菌性や薬剤性もあり、症状や経過によって治療方針が変わります。水分補給を最優先に、必要なときは医療機関を受診してください。当院では外科・内科の両面から診療を行い、地域の皆さまの健康をサポートしています。