痔瘻・肛門周囲膿瘍|いまがわ外科クリニック|大阪市都島区の内科・外科・整形外科・肛門科・形成外科・美容診療・消化器内科

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痔瘻・肛門周囲膿瘍

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痔瘻と肛門周囲膿瘍について

痔瘻の多くは、まずは肛門周囲膿瘍として発症します。

肛門と腸の境界には粘液を出すための小さな凹みがあり、肛門陰窩と呼ばれます。肛門陰窩には肛門腺といわれる粘液を出す腺があり、便がスムーズにでるのを促す役割があります。

肛門陰窩(肛門腺)は通常感染を起こしませんが、付近に傷があったり、体の抵抗力の低下、頻回の下痢などが要因となり感染することがあります。また、便座洗浄の勢いが強かったり、長時間使用すると原因になる可能性もあります。感染が筋肉を超えて広がり、肛門周囲膿瘍となります。肛門周囲膿瘍は肛門外で切開し、排膿させる必要があります。

痔瘻と病型分類(隅越分類)

肛門周囲膿瘍は切開排膿、抗生剤投与などにより治療しますが、約40-50%の確率で肛門陰窩から肛門外へと至る膿のトンネル(瘻管)が残存してしまいます。この瘻管が残った状態を痔瘻と呼びます。瘻管の入り口(肛門陰窩)を1次口、膿が排出する出口を2次口と呼びます。2次口は一見「おでき」のように見えますので、間違えて皮膚科を受診されるケースもあります。痔瘻化した場合は、手術以外に治癒させる方法はありません。手術せずに放置した場合は、肛門周囲膿瘍を繰り返しますし、稀ですが癌化することがあります(痔瘻癌)。手術方法には瘻管切除、瘻管開放、瘻管にゴムを通してゆっくり開放するシートン法があります。

痔瘻の分類(隅越分類)

痔瘻は、瘻管の走行位置により分類され、隅越分類と呼ばれています。

step1 大分類 肛門周囲の筋肉との位置関係

  • I型 括約筋を貫かないもの(皮下痔瘻、粘膜下痔瘻)
  • II型 内括約筋を貫くもの(筋間痔瘻)
  • III型 外括約筋を超えて坐骨直腸窩に至る痔瘻(坐骨直腸窩痔瘻)
  • IV型 外括約筋、肛門挙筋を超えて骨盤直腸窩に至る痔瘻(骨盤直腸痔瘻)

step2 小分類 歯状線との位置関係

  • 高位(H):瘻管が歯状線より口側に伸びるもの
  • 低位 (L) :瘻管が歯状線より肛門側にあるもの

step3 細分類 瘻管の走行形態

  • 単純(S)なもの 一本道で瘻管が続くもの
  • 複雑(C)なもの 分岐があるもの および III型やIV型

以上の分類をそれぞれくみあわせて

  • 筋間痔瘻(II)
  • 低位(L)
  • 単純なもの(S) 

IILSタイプの痔瘻 というように表現します。痔瘻ではIILSタイプが最も頻度が多いです

痔瘻・肛門周囲膿瘍の症状

肛門周囲膿瘍

お尻の腫れが徐々に大きくなっていき、激しい痛みを伴います。また、38度を超える発熱が続く場合もあります。
肛門周囲膿瘍は、肛門の腫れ、痛み、発熱などの症状がありますが
肛門の症状がなく、発熱だけが症状で(不明熱といいます)あちこちの病院を回っていたが
肛門外科で始めて診断がついたということも時に経験します

痔瘻

肛門の外に「おでき」のようなものができ、浸出液や膿汁を認めることがあります。これは2次口といわれる瘻管の出口部分になります。これを「おでき」として扱うと、瘻管は残りますのでいつまでも「おでき」が治らないということになります。また肛門周囲膿瘍を繰り返すことで、痔瘻と診断されることもあります。

検査・診断

(1)問診、視診、触診、肛門指診

まず問診を行います。その後、視診(目で見て)、触診(触れて)、肛門指診(肛門に指を入れて診察する)を行います。なかでも指診は得られる情報が多く大切な検査です。

(2)肛門鏡検査

肛門に短い筒を入れて、より詳細に観察を行います。

※骨盤内へ広がる(IV型)が疑われる場合CT、MRIなどの画像診断、入院治療が必要となりますので当院から連携病院へ紹介させていただきます。

保存的治療

肛門周囲膿瘍や痔瘻に対して、投薬のみで軽快することは少なく、基本的には外科治療が必要となります。

外科的治療

肛門周囲腫瘍

切開排膿術を行います。
局所麻酔で腫れている部分を切開し、たまっている膿を排出します。日帰り手術が可能ですが、深部膿瘍(おしりの深い部分に膿瘍ができた場合)は腰椎麻酔が必要な場合もあります。繰り返しになりますが肛門周囲膿瘍を切開しても約半数は痔瘻になりますので経過観察が重要です。

痔瘻

痔瘻になった場合は瘻管を取り除く根治手術が必要になります。

※肛門周囲膿瘍と痔瘻の手術を同時にできないのか?
肛門周囲膿瘍は切開排膿だけで約50%は治癒します。また、肛門周囲膿瘍手術時に瘻管に対する治療を行うと、手術侵襲が大きくなり、術後合併症のリスクも高くなります。したがって、まずは肛門周囲膿瘍をある程度改善させる必要がありますで、同時に手術することは一般的ではありません