
肛門尖圭コンジローマ
肛門尖圭コンジローマ
このような症状がある場合、肛門尖圭コンジローマの可能性があります。ヒトパピローマウイルス(HPV)による感染症で、性行為を含む接触だけでなく、必ずしも性的な原因とは限らないのが特徴です。当院では、プライバシーに配慮した診察環境で、専門的な診断・治療を行っています。ひとりで悩まず、安心してご相談ください。
肛門周囲にカリフラワー状や鶏冠状の1-3mmのぶつぶつやいぼができます。尖圭コンジローマは性器にできることもあります。似た名前の病気に「扁平コンジローマ」とよばれるものがありますが、こちらは梅毒の症状の1つとなりますので、鑑別が必要です。尖圭コンジローマは年間 の発症数は不明ですが、全国 に患者が約4万人いるとも言 われています。
いぼを作る代表的なウイルスであるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因です。HPVウイルスには多くの種類(約150種類)がありますが、尖圭コンジローマはがん化リスクの低いHPV6型、11型が原因とされています。なお、子宮頸がんをおこすのはハイリスク型のHPV16型、18型が多く、これに加えて31型/33型/45型/52型/58型がハイリスク型とされています。なお、HPV16型/18型は肛門癌の原因ともなります。ちなみに、手足にできるいぼ(尋常性疣贅)はローリスク型のHPV2型/57型、扁平疣贅はHPV3型/10型が原因とされています。
尖圭コンジローマができると、その中には多量のウイルスが存在しており、放置すると周囲に広がる(自己感染)することもあります。
皮膚にごくわずかな傷ができ、そこからウイルスが侵入することで発症します。潜伏期間は2週間~8ヵ月です。性感染症(STD)のひとつで、性交渉が原因で起こることが多いとされていますが、性交渉の心当たりがない患者さんも実際には多く、公衆浴場(特にサウナのバスタオルなど)、洗浄便座の使用による感染も否定できません。
コンジローマの診断は、視診や疼痛の有無などによって判断されます。確定診断を行うためには病理検査(組織を切除して顕微鏡検査に提出すること)が必要です。
子宮頸がんワクチンである4価ワクチン(ガーダシル)、9価ワクチン(シルガード)はHPV6型、11型をカバーしており、尖圭コンジローマの発症を約90%予防する高い効果を認めます。女性に対するシルガードは定期接種となっていますが、男性に対しては定期接種の対象となっていません。なお、シルガードは添付文書上、女性にしか適応がなく、「医薬品副作用被害救済制度」の対象になりません。したがって、男性の尖圭コンジローマ予防目的としてはガーダシル投与をおすすめしております。(45歳以上の男性に対する臨床データは存在していません)。当院では女性の方に対するシルガード、男性に方に対するガーダシルともに取り扱っております。なお、すでに病変があっても接種可能ですが、発症予防効果は約80%と少し劣ります。また、既存の病変を治癒させる効果はありませんので、ワクチン接種と併せて既存の病変に対する治療が必要です。
当院で主に行っている治療法です。手術時間は約15-30分ほどです。局所麻酔や仙骨硬膜外麻酔、脊椎麻酔下(無痛手術)で治療を行っています。脊椎麻酔下を使用した場合は、術後2時間ほどお休みいただきますが、日帰り手術で対応可能です。
極細の針を使用し、麻酔時の疼痛が少ないことはもちろんのこと、脊椎麻酔後に発症する可能性がある脊椎麻酔後頭痛のリスクを最小限に抑えています。
周辺組織へのダメージが少ない。術後の痛みも強くありません
当院での尖圭コンジローマの手術は保険診療で行っています。料金の詳細は料金表をご覧ください。
経験豊富な専門医が診察から手術まで一貫して担当します。
肛門にカリフラワー状の病変を認め、ラジオ波メスでこれらを切除していきます。術直後の創部は擦り傷のような赤みがでて、ひりひりとした痛みが数日あります。1週間後にはおおむね上皮化が完了し痛みはなくなります。傷跡が目立たなくなるのには数か月かかります。
病気の性質上、潜伏しているウイルス(見えていない病変)には対応できません。ウイルスの潜伏期間は2週間から8か月と幅が広く、1回目の治療後、約30%の方が再発します。再発を少しでも減らすためには、ウイルスに対する免疫力を高めることが重要です。具体的には、健康的な生活を心がけていただくことが大切です(体に良いことを一つでも増やし、悪いことは一つずつ減らす)。また、術後も半年程度は定期的に受診いただき、再発時には早期に対応することが必要です。
ベセルナクリームという抗ウイルス薬を患部に塗布します。1週間に3回使用しますが、使用した約8時間後には洗い流す必要があり、やや面倒です。治療期間はおよそ8週間(最大16週間)で、いぼの完全消失率は63.6%とされています。外科切除には治療効果は劣りますが、肉眼的に見えていない部位への効果も期待できるのが特徴です。副作用としては塗布した部位の皮膚にびらんや潰瘍ができやすいのと、肛門の奥の病変には使用できません。
液体窒素を浸した綿棒を患部に押し当てて数秒凍結させます。1~2週間に1度のペースで数回(4、5回)治療が必要です。凍傷と同様の反応がおきるため、治療後数日は疼痛があります。外科治療や軟膏治療にくらべメリットが乏しく、当院ではおこなっておりません。
Q:必ず性行為が原因なんですか?
A:いいえ。性的接触がきっかけになることもありますが、必ずしもそれに限りません。
皮膚が傷ついた状態でウイルスが付着すると、日常生活の中でも感染する可能性があります。
Q:パートナーにもつりますか?
A:感染すること可能性があります。タオル等を分けて使用してもらうなどの対策が必要です。
必要に応じてパートナーの受診やHPVワクチンの検討もおすすめしています。
Q:放っておいても大丈夫?
A:放置するとイボが増えたり、大きくなったり、感染が広がる可能性があります。
早期治療が重要です。
Q:再発しやすいと聞きましたが?
A:はい。HPVウイルスは体内に残る可能性があり、再発することもあります。
当院では、確実な除去と定期的な経過観察で再発を防ぎます。