ワクチン・予防接種
ワクチン・予防接種
予防接種は、毒性を弱めた病原体(ウイルスや細菌)や毒素、または体内で病原体蛋白を産生させるmRNAを投与することで抗体を作る(免疫を作る)ことを言います。投与される物質をワクチンまたはトキソイドと呼びます。ワクチン接種の必要性を確かめるためには抗体検査を行うこともあります。
ワクチンの効果は以下の3段階に分けられます
①感染予防効果: 体内での感染を予防します(最大効果)。
②発症予防効果: 感染はするが無症状で経過します。
③重症化予防効果: 感染し症状が出現しても重症化を防ぎます。
麻疹やおたふくかぜでは感染予防効果が期待できますし、コロナワクチンやインフルエンザワクチンでは感染予防効果は低いですが、発症予防効果や重症化予防効果があります。
感染や予防接種による免疫の有効期間はウイルスや細菌の種類により異なります。また、抗体をすでに持っている状態で、ウイルスや細菌に暴露されると免疫が再活性化され(ブースター効果といいます)、免疫の有効期間が長くなります。したがって、感染症の流行状況や生活環境により免疫持続期間もかわってきます。
・長期間有効(数年から数十年): 麻疹、水痘、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、ジフテリア、百日咳、破傷風
・短期間有効(数か月から数年): コロナウイルス、インフルエンザなど
生ワクチンは、生きたウイルスや細菌を使用していますが、その病原性を弱めているため、通常は感染症を引き起こしません。生ワクチンは強力な免疫応答を引き起こし、一回の接種で長期間の免疫を提供することが多いです。ただし、免疫力が低下している人には使用できない場合があります。また妊婦には使用できません。生ワクチンの接種間隔は4週間あける必要があります(経口生ワクチン除く)
不活化ワクチンは、病原体やウイルスの感染力を完全になくしたもので、感染しないので安全ですが、免疫応答が生ワクチンよりも弱いため、複数回の接種が必要です。違う種類の不活化ワクチンの投与間隔に制限はありませんが、当院では副反応を見極める関係から、2週間ほど間隔をあけて接種いただいております。また、同じ種類の不活化ワクチン投与は決められた間隔で行う必要があります
ウイルスを構成するタンパク質の遺伝情報を投与し、体内でウイルスのタンパク質を作り、そのタンパク質に対する抗体が作られることで免疫を獲得させます。
予防接種には、法律に基づいて市区町村が主体となって実施する「定期接種」と、希望者が各自で受ける「任意接種」があります。接種費用は、定期接種は公費ですが(一部で自己負担あり)、任意接種は自己負担となります。また、期間限定で公費負担となる「臨時接種」という制度もあります。
市区町村が実施する予防接種の種類や補助内容の詳細については、市区町村などに確認してください。定期接種による健康被害が発生した場合には、救済給付を行うための制度がありますので、お住まいの市区町村にご相談ください。任意予防接種によって健康被害が起こったときは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法による救済制度があります。
・高齢者インフルエンザ(令和6年10月1日から開始)
・高齢者コロナワクチン(令和6年10月1日から開始)
・高齢者肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)
・HPVワクチン(シルガード)
・風疹ワクチン
・肺炎球菌ワクチン(プレベナー、ニューモバックス)※定期接種の対象とならない方
・インフルエンザワクチン ※小学生~64歳
・帯状疱疹ワクチン(シングリックス)
・RSウイルスワクチン(アブリスボ)
・麻疹風疹ワクチン(MRワクチン)
・HPVワクチン(シルガード、ガーダシル)など
その他のワクチンも取り扱っていますので、ご相談ください
対象:65歳以上の大阪市民の方
令和6年度は10月1日から実施予定です
対象:65歳以上の大阪市民の方
令和6年度は10月1日から実施予定です
対象:接種当日に大阪市民で65歳の方
PPSV23(ニューモバックス)というワクチンを投与します。PPSV23は効果を持続させるには5年おきの投与が必要ですが、定期接種は初回のみ対象で、令和6年度より摂取当日に65歳の方のみとなっております。2回目以降の接種、65歳以外の方の任意接種も行っております。またPPSV20(プレベナー)という、1回投与で数十年免疫が得られるとされるワクチンも用意しております(任意接種)。
対象① 接種当日に小学6年生~高校1年生の大阪市民の女性 定期接種をうけるには高校1年生の9月30日までに初回接種を打つ必要があります
対象② キャッチアップ接種(臨時) H9.4.2~H20.4.1生で大阪市民の女性(R7.3.31終了予定→R6.9.30までに初回接種が必要です)
HPV(ヒトパピローマウイルス)は100種類以上の型があります。子宮頚癌の原因となるのは15種類ほどあり、特にHPV16.18の2種類が原因の約60%を占めています。(HPV16は中咽頭癌の原因、HPV16,18型は肛門癌などの原因にもなります)当院では「シルガード」という9価ワクチンを用いており、子宮頸がんをおこすハイリスク型のHPV16型/18型/31型/33型/45型/52型/58型をカバーし、さらに尖圭コンジローマの原因となる低リスク型HPV6型/11型をカバーしています。子宮頚がんに対する予防効果は90%以上とされています。
初回接種当日の年齢が15歳未満の場合は2回接種、接種当日の年齢が15歳以上のときは3回接種が必要です。
対象① 昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生の男性(2025年3月で終了予定)
対象② 大阪府民で妊娠を希望する女性と配偶者・同居者、妊婦の配偶者・同居者
MRワクチンは、麻疹(はしか)と風疹(3日はしか)に対して用いる2価ワクチンです。風疹単独ワクチンは流通量が少なく手に入らないことから風疹予防としてMRワクチンを使用しています(風疹単独ワクチンと効果、副反応ともに大差ありません)。接種前にはワクチン接種歴の確認か抗体検査が必要です。
必要書類
・対象①のかた お手元のクーポン券を持参ください(抗体検査:無料 ワクチン代:無料)
・対象②のかた 初診時にマイナンバーカード等の身分証明書を持参ください(抗体検査:無料 ワクチン代:自費※)
※ワクチン代の助成は各市町村により制度が異なりますので、お住まいの自治体にお問い合わせください
対象:定期接種の対象にならない65歳以上のかた
PPSV23(ニューモバックス)の定期接種の対象にならなかった65歳以上のかたや2回目以降の接種を行っています。ニューモバックスは5年おきに接種が必要です。またPPSV20(プレベナー)という、1回投与で数十年免疫が得られるとされるワクチンも用意しております(任意接種)。
対象①:小学生~64歳までの方
対象②:65歳以上で大阪市民以外のかた
インフルエンザにはA型、B型、C型まであります。人で流行するのはA型かB型ですがA型には144種類、B型には2種類のタイプにわけられ、さらにタイプの中でも遺伝子が毎年変異します。どのタイプが流行するかを、厚生労働省と国立感染症研究センターが予測し、どのタイプのワクチンを接種するかが決められます。予測が外れるとワクチン接種の効果は多少下がりますが、重症化予防効果程度はあるとされます。インフルエンザの流行する年末から年度末は就職、転勤や受験など人生における大切なイベントも多く、早めの予防が重要です。インフルエンザワクチンのみ小学生以上の方で接種しております。12歳以下では2回接種が必要です
対象①妊娠24週~36週の妊婦(推奨は28週~36週)
対象②60歳以上の成人
RSウイルスは主に乳幼児に多くおこる呼吸器感染症で、時に重症化します。11月~2月の冬の時期に流行し、3歳までにすべての子どもが抗体を獲得するといわれています。2024年6月より母体を通して乳児へ抗体を移行するという方法でワクチン接種が可能となりました。また、60歳以上の成人でも罹患することがあり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)やうっ血性心不全などの慢性疾患を悪化させることが報告されています。
対象①50歳以上のかた
対象②帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上のかた
帯状疱疹を引き起こすのはVZVというウイルスですが、VZVに初めて感染すると水痘(水ぼうそう)となります。水痘に一度感染するとウイルスは体内の神経細胞に残存し、免疫が落ちた際(疲れなど)にウイルスが活性化され帯状疱疹を発症します。水痘ワクチンを接種していても帯状疱疹になることもあります。成人期の帯状疱疹発症予防のためには帯状疱疹ワクチン投与が有効です。また、水痘にかかったことがない人が帯状疱疹患者に接触した場合、水痘を発症することがあります。(帯状疱疹患者さんは水痘患者さんほどの感染力はありません)
帯状疱疹のワクチンには不活化ワクチンのシングリックスと生ワクチンの水痘ワクチンの2種類がありますが、当院ではシングリックス投与をおすすめしております。水痘生ワクチンに比べて帯状疱疹を予防する効果が高く50歳以上で97.2%、70歳以上で89.8%の発症予防効果があります。また効果持続時間は約10年近くあり(水痘生ワクチンは5年程度)ます。副反応も生ワクチンにくらべても少ないことが特徴です。
帯状疱疹ワクチンに際して抗体検査は不要です(抗体価に関係なく発症するため)
また、帯状疱疹を罹患したあとも免疫力が低下すると帯状疱疹が再発することがありシングリックス接種は有効とされています。
対象①麻疹(はしか)ワクチンの記録がない方
対象②麻疹(はしか)予防の必要があるかた(海外旅行、医療関係者等)
麻疹風疹ワクチンは、麻疹(はしか)と風疹(3日はしか)に対して用いる2価ワクチンです。麻疹単独のワクチンは流通量が少なく手に入らないことから麻疹予防としてMRワクチンを投与しています(麻疹単独ワクチンと効果、副反応ともに大差はありません)
なお、風疹予防目的でのMRワクチン接種は行政からの助成が一部でありますが、麻疹予防目的でのMRワクチンは助成がありません。麻疹(はしか)を予防したいのか、風疹(3日はしか)を予防したいのかで手続きが変わってきますのでご注意ください。
対象①定期接種とならなかった女性
対象②男性
定期接種の対象とならない女性に、シルガード接種を行っております。なお、子宮頚癌や尖圭コンジローマを防ぐ目的のHPVワクチンですが、海外では男性にも定期接種が行われている国もあります。HPVが性感染症であり女性→男性→女性(ピンポン感染といいます)を防ぐことが目的です。HPV16型/18型は中咽頭癌がんや肛門癌、HPV6型/11型は尖圭コンジローマの原因となります。女性の定期接種で用いている9価ワクチン(シルガード)は添付文書上、男性への適応がなく「医薬品副作用被害救済制度」の対象になりません。したがって当院では男性には4価ワクチン(ガーダシル)投与を行っております。ガーダシルはHPV16型/18型/6型/11型をカバーしており十分有効性があるものと考えております。
申し訳ありませんが、ワクチン接種のみのご予約はお受けしておりません。他院で受けられた抗体検査の結果をお持ちのうえ、まずは当院の医師による診察を受けてください(診察料を頂戴いたします)。これは、他院で十分な説明を受けていない場合に、抗体検査の結果を持参されてもワクチン接種時に混乱を招くことが多いためです。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。