
痔ろうの日帰り手術
痔ろうの日帰り手術
このような症状がある方は、「痔ろう(あな痔)」の可能性があります。
痔ろうは基本的には自然治癒しない病気であり、根治には手術が必要です。
痔ろうは、肛門の奥にある「肛門陰窩」から細菌が侵入し、トンネル状の管が皮膚に向かって形成される病気です。多くのパターンはまず肛門肛門陰窩に細菌が感染、膿がひろがります。この状態を肛門周囲膿瘍といいます。次に、膿が破れて肛門の外に出口ができます。このまま膿がなくなってしまえばよいのですが、およそ半数の患者さんでは肛門周囲膿瘍で膿を出しきったとしても膿を通すトンネルが残ってしまいます。このトンネルを痔ろうといい、痔ろうを放置すると肛門周囲膿瘍を繰り返したり、稀ですががん化することもあります。痔ろうは抗生物質等では治ることがなく、基本的には手術が必要です
痔瘻手術は、入院治療で行われることが大半ですが、当院では麻酔法を工夫したり、低侵襲な高周波メスを使用した手術を行うことで日帰りでの痔ろう手術を行っています
専門性の高い肛門診療を提供する施設です。
経験豊富な専門医が診察から手術まで一貫して担当します。
当院での痔ろうの日帰り手術は保険診療で行っています。料金の詳細は料金表をご覧ください。
料金表はこちら
極細の針を使用し、麻酔時の疼痛が少ないことはもちろんのこと、脊椎麻酔後に発症する可能性がある脊椎麻酔後頭痛のリスクを最小限に抑えています。
組織へのダメージが少なく、術後の痛みや腫れを抑える先進の治療法です。
痔ろう瘻は肛門陰窩の一次口(トンネルの入り口)から肛門外の出口(2次口)まで確実に処理することが必要です。また瘻管は肛門を絞めておくのに必要な筋肉である括約筋を貫くタイプがほとんどであり、括約筋の過剰な切除が肛門機能に影響を及ぼすことから、瘻管切除と括約筋機能温存とのバランスを考えた術式の選択が重要です。ここでは代表的な痔ろうの術式について解説します。
入口から出口まで瘻管を切り開き、縫合せずに開放します。
メリットは再発が少ない点にありますが、デメリットとしては瘻管の手前の括約筋の切除が必要で、過剰な切除で肛門機能が低下するリスクがあります。ただ、肛門後方部であれば、括約筋を切除しても肛門の機能に影響することは少ないので、本術式を選択します。
瘻管の中に輪ゴムを通し、2-3週間おきにゴムを絞めていきます
ゴムの弾性力で徐々に瘻管(と括約筋)を切開開放しますので、肛門機能への影響は切開開放術に比べて少ないですし、再発もそれほど多くありません。しかし、通院回数が増えること、治癒までに3から6か月と治療に時間がかかることがデメリットになります。
肛門前方から側方の瘻管に対して切開開放術を行うと、肛門変形などの合併症の可能性がやや高くなりますので、シートン法を選択しています
切開開放術とシートン法は括約筋を切除する術式ですが、くりぬき法は括約筋を貫く瘻管を括約筋は切除せずに瘻管のみくりぬく方法です。メリットは括約筋への影響が少ないことですが、くりぬいたトンネル入口を手術時にしっかりと縫い合わせたとしても、同じ部位から細菌が侵入し再発することがあります。肛門後方深い瘻管、前方側方の瘻管に対して適応します。
☑問診の上、腹部と肛門診察を行います。
☑肛門診察は必ず女性看護師が立ち会います。
☑手術適応があるかどうかを判断します
☑手術日までに、術前検査を行います(採血、レントゲン、心電図など)
☑手術内容について医師より詳しく説明させていただき、同意書にサインしていただきます
☑手術前後の注意事項について、看護師より説明させていただきます
☑更衣室にて術着へ着替えをしていただきます。
☑点滴、血圧測定等行ったのち手術室へ移動します
☑麻酔を行います。腰から細い針を挿入し、麻酔薬を注入します。
☑肛門周囲の痛みが完全にとれるまで、麻酔が広がるのを待ちます(約3分)
☑手術体位をとり、詳細に患部の状況を確認したうえで手術を開始します
※手術中は鎮静剤を用いて、眠った状態で手術することも可能です(全身麻酔とは異なります)
☑処置室にてお休みいただきます
☑酸素濃度、血圧、心拍数など測定を継続して行います
☑脊椎麻酔の場合は麻酔が切れるまで約2時間ほどかかります。麻酔が切れて歩行可能になれば帰宅いただきます。
☑痛みどめを処方しますので、帰宅後すぐに内服してください(帰宅後もしばらくの間、肛門周囲の麻酔が効いていますので、麻酔が切れる前の内服をおすすめします)
☑手術当日からシャワーは可能です(入浴はお控えください)
☑食事は夕食からとっていただいて大丈夫です
☑帰宅後の飲酒は術後出血のリスクが高くなりますので控えてください
☑創部の確認のため来院いただきます。
☑入浴が可能となります。
☑手術創部のガーゼ交換をこまめに行ってください(感染の予防が重要です)
☑手術当日と翌日はご自宅で安静にしておくことで、脊椎麻酔の影響による頭痛等を予防することができます。
☑創部の痛みは、日に日に良くなってきます
☑術後1週間を目安に来院いただきます
脊椎麻酔をおこなっていますので、手術中は痛みを感じません。術後も鎮痛剤を使用し、痛みを最小限にコントロールします
切開開放術やくりぬき法は瘻管周囲の組織も切除します。肛門外の傷口は縫い合わせてしまうと、ばい菌が溜まり膿瘍を作ってしまいますので
あえて開放しています。傷を縫い合わるのに比べ、肉が盛り上がってくるのに時間がかかります 治癒まで2-3か月
肉が盛り上がる過程で浸出液がでますので(傷が治す細胞がこの液体の中に入っています)パッドを当ててもらう、傷口は化膿しないようにこまめに洗浄する必要があります。
シートン法では2週間に1回程度通院いただき、来院のたびにゴムを少しずつ絞めていきます。ゴムを絞めた数日は痛みがでることがあります。またゴムのわきから浸出液がでることがあります。ゴムが外れるまで3-6か月程度の期間がかかります。
当院では原因となる瘻管を確実に処理するように心がけていますが、一般的に再発率は3-5%程度あるとされています。