麻疹(はしか)とワクチン|いまがわ外科クリニック|大阪市都島区の内科・外科・整形外科・肛門科・形成外科・美容診療・消化器内科

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医療コラム

麻疹(はしか)とワクチン|いまがわ外科クリニック|大阪市都島区の内科・外科・整形外科・肛門科・形成外科・美容診療・消化器内科

麻疹(はしか)とワクチン

麻疹は、約10日の潜伏期間の後、風邪症状が2-3日続き、その後、高熱や湿疹(首から体へと広がる)が出現します。麻疹は死亡率が0.1%と高く、肺炎や脳炎、罹患後長期間を経て発症する亜急性硬化性全脳炎などが問題となるため注意が必要です。ワクチン接種しているが抗体が十分でない場合は、症状が軽いため典型的な経過をとらず「修飾麻疹」といわれ、診断が難しいとされています。治療はウイルスに対する治療薬はなく解熱剤等の対症療法となります。なお麻疹はウイルス暴露された場合72時間以内にMRワクチンを投与すると発症を予防できる可能性あります。(風疹では有効性を示すデータはありません)。ワクチン接種回数は1回で95%以上の確率で抗体がつくとされていますが、慎重を期すのであれば4週間あけて2回目の接種(97-99%免疫がえられます)をおこないます。

麻しん患者数は2001年には20-30万人(!)の患者数を認めましたが(cf.インフルエンザの年間患者は推計1000万人)、2009年には732例、そして2015年には35人となり、2015年世界保健機関(WHO)より日本が麻疹の排除状態にあることが認定されました。その後は2016年に165人、2019年には744人と微増傾向でしたが、2020年以降はコロナウイルス感染症流行により(コロナの感染対策が奏功し)麻疹患者は年間数名という状態でした。麻疹は実効再生産数(R0)が12-18とされ、コロナウイルス(covid19)の1.4-5.7をかなり上回る感染力を有しており、マスクの着用でも防ぎきれません。一方で、ワクチンの予防効果は高く、ワクチンを2回接種することで約97%近くの発症予防効果があるとされています。注意が必要なのは妊娠を考えておられる女性で、妊娠中に麻疹にかかると流産や早産を起こす可能性があり、MRワクチンを打っていることが確認できなければ、抗体価を測定の上、ワクチン接種を受けることをおすすめします。既に妊娠しているのであればワクチン接種を受けることが出来ませんので、外出を控えるなどの対策が必要です。

小児に対する麻疹の定期接種の変遷

・~1972年9月30日生 定期接種なし
・1972年10月1日~1990年4月1日生 定期接種1回(1歳~6歳)
・1990年4月2日~2000年4月1日生 定期接種1回と中1または高3で臨時接種(2回目)
・2000年4月2日生以降 定期接種2回(1回目:1歳 2回目:小学校入学前)

年齢別による免疫獲得状況(私見)

1990年4月1日以前生まれのかた
ワクチン接種がない、または不十分な可能性が高いです。しかし、2000年頃までは麻疹の患者数も多かったことを考えると免疫を保持している可能性も少なくありません。抗体検査をおすすめします。

1990年4月1日以降生まれの方
母子手帳等で接種歴を確認してください。接種が確認できない場合は抗体検査で免疫の有無を確認します

1983年~1992年生まれの方
予防接種ができていない可能性があります。1989年に導入された3種混合MMRワクチン(おたふくかぜ、麻疹、風疹)では無菌性髄膜炎発生の副反応が多発して問題となり(3種混合ワクチンのうちおたふくかぜワクチンの製造工程に問題があったとされています)、1993年に製造中止されています。この時期の接種控えが影響している可能性があります。気になる方は抗体検査をおすすめします。