痔に用いられる軟膏の比較表
- 2025年5月28日
- 肛門外科
大阪市都島区のいまがわ外科クリニック肛門科(大腸肛門病学会認定施設)では痔の専門外来を行っています。切らずに治す注射療法から保険適用の日帰り手術まで幅広く対応します。
今回は当院でよく用いる治療薬と市販薬の比較して解説します(2026/04/12内容改訂)
当院で用いる治療薬
当院で使用する治療薬には、軟膏薬と内服薬があります。軟膏薬には市販薬には含まれていない成分も含まれており、症状に応じて適切に使い分けることが重要です。市販薬のようにすべての症状に幅広く使用できるものではありません。また、内服薬にはステロイドや局所麻酔成分は含まれていないため、治療の中心は軟膏薬となります。
軟膏薬
ヘモレックス軟膏
- ステロイド: ++(ヒドロコルチゾン5.0mg)
- 麻酔成分: +(ジブカイン5mg)
- その他の成分:抗生剤(ブラジオマイシン)、止血成分(エスクロシド)
- 適応疾患:痔核、裂肛、皮膚炎
- 特徴:抗炎症と鎮痛に加えて抗生剤と血流改善成分も含有
強力ポステリザン軟膏 / ヘモポリゾン軟膏
- ステロイド:+(ヒドロコルチゾン2.5mg)
- 麻酔成分: なし
- その他の成分:免疫誘導成分(大腸菌死菌液)
- 適応疾患:痔核、裂肛、皮膚炎
- 成分量:麻酔成分が含まれない。大腸菌死菌液が免疫誘導し、組織修復に作用
ボラザ軟膏
- ステロイド:なし
- 麻酔成分: +(リドカイン20mg)
- その他の成分:血流改善成分(トリベノシド)
- 適応疾患:痔核、裂肛
- 特徴:ステロイドが含まれていない。トリベノシドには内服も存在
内服薬
ヘモナーゼ配合錠
- ステロイド: なし
- 麻酔成分: なし
- その他の成分:ブロメライン、ビタミンE
- 適応疾患:痔核、裂肛
- 特徴:褥瘡治療等で用いられる蛋白分解成分であるブロメラインが組織修復に作用、ビタミンEは血流改善に作用
ヘモクロンカプセル
- ステロイド: なし
- 麻酔成分: なし
- その他の成分:トリベノシド
- 適応疾患:痔核
- 特徴:ボラザ軟膏にも用いられている血流改善成分(トリベノシド)を主成分とする内服薬、裂肛には適応がない
市販薬
市販の痔の薬には、一般的にステロイド成分、局所麻酔成分、さらに組織修復を促すアラントインなどが配合されています。そのため、市販の総合感冒薬のように、痔の状態にかかわらず幅広く使用できるよう設計されています。一方で、すべてステロイドが含まれているため、長期使用には向きません。また、症状に応じて処方される医療用医薬品と比較すると、効果は限定的である場合があります。
軟膏薬
リシーナ軟膏
- ステロイド: ++(酢酸ヒドロコルチゾンエステル5.0mg)
- 麻酔成分: +(リドカイン24mg)
- その他の成分:組織修復成分(アラントイン5mg)
- 適応疾患:痔核、裂肛、皮膚炎
- 特徴:ステロイド量が多い、注入タイプがなく内痔核には使いにくい
プリザエース注入軟膏
- ステロイド: +(酢酸ヒドロコルチゾンエステル2.5mg)
- 麻酔成分: ++(リドカイン30mg)
- その他の成分:組織修復成分(アラントイン5mg)、止血成分(塩酸テトラヒドロゾリン)血流改善成分(ビタミンE)、消毒成分(クロルヘキシジン)
- 適応疾患:痔核、裂肛、皮膚炎
- 特徴:注入タイプで止血成分も含まれているため、内痔核に使いやすい薬剤といえます。ただし、消毒成分であるクロルヘキシジンが、傷の部分に刺激となる可能性もあるため、使用には注意が必要です。
ボラギノールA注入軟膏
- ステロイド: +(プレドニゾロン酢酸エステル0.5mg)
- 麻酔成分: ++(リドカイン30mg)
- その他の成分:組織修復成分(アラントイン5mg)、血流改善成分(ビタミンE)
- 適応疾患:痔核、裂肛、皮膚炎
- 特徴:処方薬に近い組成で、使いやすい

