コロナウイルス感染症
- 2025年7月27日
- 発熱外来
コロナウイルス感染症
コロナウイルスとは、数十年も前から「かぜ」を引き起こすウイルスとして知られていました。ウイルスが突然変異することで病原性が強まり、重症肺炎を引き起こすことがあります。
過去には以下のようなパンデミックが起こりました。
- 2002年:SARS(重症急性呼吸器症候群)
- 2012年:MERS(中東呼吸器症候群)
- 2019年:COVID-19(新型コロナウイルス感染症)
パンデミックの一因には、コロナウイルスの高い感染力があります。
エアロゾル感染と「3密」
コロナ以前、ウイルスの空気感染は「飛沫核感染(空気感染)」と「飛沫感染」に分類され、結核や麻疹などは飛沫核感染が代表でした。
COVID-19の流行以降、「エアロゾル感染」という用語が広まりました。エアロゾルとは、大きさに関係なく空中を漂う微粒子のことです。呼吸、咳、くしゃみによって、1~100μmのウイルスを含んだ微粒子が空中に浮遊します。
エアロゾル感染を起こす主なウイルスには以下があります:
- 新型コロナウイルス
- インフルエンザ
- ノロウイルス
エアロゾル感染は「3密」(密閉・密集・密接)環境で拡がりやすく、たばこの煙(約1μm)が漂う範囲を想像するとイメージしやすいでしょう。
令和5年5月8日より新型コロナウイルスは「5類感染症」に分類されましたが、ウイルスの性質が変化したわけではありません。引き続き、ユニバーサルマスク(お互いがマスクをする)が有効な予防策です。
主な症状と後遺症
以下のような風邪症状が現れます:
- 鼻水
- のどの痛み
- 咳
- 発熱
- 味覚・嗅覚障害
無症状で経過するケースもあり、知らぬ間に周囲に感染を広げるリスクがあるため注意が必要です。
また、症状が治まった後も以下のような後遺症(コロナ後遺症)が続くことがあります:
- 倦怠感
- 筋肉痛
- 咳・痰
- 脱毛
- 集中力低下・頭痛
- 味覚・嗅覚障害
- 腹部症状
- 睡眠障害
重症度の分類
パルスオキシメーターによって酸素飽和度(SpO₂)を測定し、以下のように分類されます:
- 軽症:SpO₂ ≧ 96%
- 中等症Ⅰ:93% ≦ SpO₂ < 96%
- 中等症Ⅱ:SpO₂ < 93%
- 重症:SpO₂ < 93%、ICU管理
※当院では、パルスオキシメーターの貸し出しも行っています。
検査について
検査は鼻腔から検体を採取し、以下の方法で診断します:
- 抗原検査:感度 約60%、特異度 約98%、結果は5~15分で判明
- PCR検査:感度 約90%、特異度 ほぼ100%、結果は約60分で判明
※当院では抗原検査・PCR検査ともに実施可能で、当日結果がわかります。
※PCR検査は陽性確認・陰性証明の両方に有用ですが、抗原検査は陰性証明には適しません。
また、インフルエンザとの同時検査も可能です。
治療について
新型コロナウイルス感染症は基本的には「風邪の一種」であり、アセトアミノフェンなどによる対症療法が中心です。
ただし、以下のような方には抗ウイルス薬の投与も可能です:
- 症状が強い方
- 重症化リスクが高い方
- 後遺症が心配な方
当院で処方可能な飲み薬は以下の2種類です:いずれも軽症から中等症Iの患者(外来通院が可能な重症度)で投与します
- エンシトレル(商品名:ゾコーバ):基礎疾患はないが症状が強い、コロナ後遺症のリスクを下げたい患者さん向け。妊娠の可能性がある場合は禁忌
- モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ):基礎疾患があり、重症化リスクが高い患者さん向け