硬膜穿刺後頭痛(PDPH)を防ぐための脊椎麻酔
- 2024年6月23日
- 肛門外科
当院では肛門外科手術で硬膜外麻酔または脊椎麻酔をおこなっています。このうち、脊椎麻酔は無痛分娩や帝王切開で用いられる麻酔法で、腰から細い針を挿入して麻酔薬を注入する方法です。脊椎麻酔では、術後数日経過してから硬膜穿刺後頭痛(PDPH: Post Dural Puncture Headache)が発症する場合があります。この頭痛は、麻酔時に硬膜を穿刺した部分から脳脊髄液が漏出することが原因で生じます。
PDPHの発生率を減少させるためには、以下の対策が有効です:
- ●ペンシルポイント針を使用すること
- ●なるべく細い針を使用すること
脊椎麻酔で使用される針のサイズはペンシルポイント針とクインケ針の2種類があり、ペンシルポイント針は先端が鈍いため、ガイド針の挿入が必要で手技が難しくなります。また針の大きさは23Gから27Gまであり、数字が大きいほど針は細くなります。細い針ほど操作が難しく、熟練が必要です。
当院では、極細(27G)のペンシルポイント針を使用しており、PDPHの発生はほぼゼロとなっています。
参考:PDPHの発生率
- ・25Gクインケ針:3.6%
- ・25Gペンシルポイント針:0.79%
- ・27Gペンシルポイント針:0.09%